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活動報告

第3回国際ビジネス委員会主催事業オンライン講演会
~演題「カンボジア事業への挑戦」~

日時 2021年10月26日(火)14時~15時
出席者 東京商工会議所女性会会長 市瀬 優子
東京商工会議所女性会国際ビジネス委員会担当副会長 緒方 智英子
司会:同委員長 須永 明美 /リモートサポート及び写真撮影:理事 田中 洋子、石井清香
映像記録:理事 田中 洋子/報告書:理事 石井清香
登録合計20名 当日接続16名
場所 オンライン開催
講師 株式会社 イル・ヴリール 代表取締役 加藤 和則 氏

2021年10月26日(火)14時より、東商女性会ビジネス事業委員会主催の講演会「カンボジア事業への挑戦」がオンライン開催により行われ、株式会社イル・ヴリール 代表取締役 加藤 和則 氏より約60分のご講演をいただきました。冒頭では市瀬会長より緊急事態宣言が明け、コロナ禍の影響が縮小してきた今、これからの女性会会員のますますの活発な活動と発展に期待しますというご挨拶をいただきました。

加藤氏の講演では、まず、“なぜカンボジアに進出したのか”という単純で最も大切な命題からご説明いただきました。これを突き詰めて考えることがカンボジア進出をする企業にとってとても重要なポイントだからです。つまり、カンボジアが抱えている問題をビジネスでどう解決していくのか、社会問題と向き合いながら上から目線ではなく、同じ目線でビジネスを考えることが重要であると述べられました。

カンボジアでは、ゴールデンシルクは黄金の繭から産出される希少なものですが、生糸として利用しているのみで、シルクの高付加価値のための加工技術が確立されていないため、産業が衰退しつつありました。また、学校教育が普及していないなどの理由で、多くの女性の就職が困難という実態もありました。

そして、カンボジアは、長期政権でカントリーリスクが少なく、日本からの大企業の進出がないので、中小企業でもビジネスチャンスがあります。中国もカンボジアに投資する動きもあり、市場が見込まれるという利点があるとのことです。

このような点から、加藤氏は、現地の友人との縁もありカンボジアに進出を決めました。2011年2月にカンボジアに初めて進出したときは、まず、日本のナチュラルでオーガニック指向の製品を体験してもらうために、日本人が駐在するプノンペン初のサロンをイオンに出店し、現地の人にそこで製品の良さを体験してもらうことから始めました。

そして、国との接点を作るためにカンボジア協会に入会しました。そこでは、大臣に直接会うことが出来ます。また、カンボジアの国を巻き込んだビジネスをするために、国として後押ししてもらいたい理由で、JICAの力を借りることを考えました。

何度か計画書を提出してもはねられるも、最終的に2016年に採択され、JICAの支援で、基礎調査(カンボジアにどのような点で貢献できるかを調査。上限850万)、案件化調査(社会貢献の案件になり得るかを調査。上限5000万)を実施できました。

今では、次のステージとしてJICAの“普及・実証・ビジネス化事業”のサポートを受け、産学連携でカンボジア王立農業大とカウンターパート契約を結び、ゴールデンシルクからシルクプロテインの抽出を依頼し、石鹸等の製造販売を進めています。

加藤氏が説明したポイントのもう1つは、バリューチェーンを考えて、その中で、自社の強みを生かし、どこに注力するかを考えるということです。その中で、当社は、第3次産業の“販売”に注力しています。その理由は、第1次産業の養蚕は技術の伝承が途絶えたこともあり、養蚕しても20%しか生糸にならないという現状がありました。第2次産業の製品開発に企業が一番投資することが多いようですが、販路を開拓する前に、プロジェクトが終了し、それと共に撤退するという多くの事例がありました。そこで、既にゴールデンシルクで成功しているタイのシルクセンターでの実績をカンボジアにも利用できないかを検討し、第1次産業の養蚕と第2次産業の知識のサポートについては、タイのマハーサラカム大学の教授に依頼し、当社は“販売”に注力しています。

緒方副会長が閉会の挨拶で、これだけ短期間に大きな功績をあげられたのも、加藤氏が“カンボジアでの事業は生きがいである”とお話しされたことに裏打ちされている。女性会でも海外進出したい企業は多くあると思うので、その時には是非ご指導いただきたいと述べて閉会となりました。