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活動報告

社会貢献・少子化委員会主催講演会

日時:2020年12月1日(火)14時~15時半
会場:ZOOM(東京商工会議所5階 B2会議室より)
出席者:42名

〇講演会テーマ ~児童虐待死事件の取材から考える~
講師:ルポライター 杉山 春氏

福島由美

〇司会:担当 社会貢献少子化委員 福島 由美

市瀬優子

〇開会の挨拶
東商女性会会長:市瀬 優子
コロナ禍の中、このような講演会を開くことができて感謝しています。
児童虐待という現代の問題をじっくり伺いたいと存じます。

〇講師紹介

杉山春

1958年東京都生まれ。
早稲田大学第一文学部卒業。雑誌編集者を経て、フリーランスのライターに。
これまで、子育てや親子問題、あるいは子殺しなどをテーマに取材・執筆をしてきた。
著書に、『満州女塾』(新潮社)、『ネグレクト 育児放棄―真奈ちゃんはなぜ死んだか―』(小学館。第十一回小学館ノンフィクション大賞受賞作)などがある。
2020年6月19日 NHKあさイチ出演。10年以上にわたり、育児放棄をした親などを取材し、執筆を続けている。

講演内容

はじめに、杉山氏自身が「なぜ児童虐待事件に興味を持ったのか」「愛知県武豊町3歳児餓死事件(2000年)」、「大阪市西区の事件(2010年)」、「厚木事件2014年」「目黒区2018年3月の事件」「野田市2019年1月の事件」などの取材された事件を通して見えてきたこと。
悲惨な事件の奥には、「家族の孤立化」「子どもが思い通りにならない時父親は恐怖に駆られている。だから徹底的にコントロールをしないと気が済まない」 「暴力での支配は不安なもの、だからエスカレートする」、シングルマザーの貧困問題、非正規就労家庭の貧困問題にも原因がある。
人が評価され、居場所をみつけることができる社会であってほしい。行動を助けるのは正しい知識でありその知識の広まり、共有が大切である事。支援者は自分自身の五感を信じて、個人を支える体制、ネットワークを張る力を持って対話してゆくことが大切である。

なぜ児童虐待事件に興味を持ったのか

〇質疑応答(杉山先生より頂きました。敬称略)

質問:私たちにできることは何があるでしょうか?

杉山:できれば雇用の確保をぜひお願いしたい。働くところがあるという事は大きな力になり、不安がなくなり、暴力も少なくなっていく。

質問:野田市の小学4年生の女児はどうして死んでしまうことになったのか、止めることはできなかったのか。

杉山:女児の危機を彼女の立場からきちんとアセスメントができていなかった。日本は親権が強いために子供を守るシステムがきちんと作動していなかった。父親が自分のアイデンティティを子供に壊されるのが怖かったので暴力がエスカレートしてしまった。

質問:大人も子供も自分を素直に表現できることが大切なのではないか。

杉山:素直に表現できることが人とつながるためにとても大切だが、現在は奪われて育ってしまっている。それが日本の格差社会の中で再生産されてしまっていることが問題だ。

藤沢名誉会長

〇藤沢名誉会長より
大変深いことであって、いま私たちに何が出来るのかを考え、出来る事からスタートしていきたいと思います。

〇閉会の挨拶
担当副会長:財津 澄子
素晴らしい講演をしていただいた杉山春氏へ心からの感謝と、一人でも多くの方に「児童虐待とはどういうことか」をわかってほしいという熱い気持ちが伝わってきました。コロナ禍にもかかわらずご参加いただきました女性会会員の皆様へ感謝いたします。

〇所感

ルポライターである杉山春さんの今までご経験された沢山の取材を通して、見えてきたもの、感じられたことを具体的にお話しいただきました。これから私たちが、児童虐待に対してどのように向き合い理解しなければならないか大きな課題をいただいたように感じました。今後、会員の皆様と一緒に社会貢献・少子化委員会の委員会活動に前向きに取り組めたらと思います。

(記:社会貢献・少子化委員会)