日時 平成23年7月6日16:00~17:30
場所 東京商工会議所 特別会議室S
講師 社会福祉法人青少年福祉センター 専務理事 長谷場 夏雄氏
82歳を迎え、肺気腫を患っておられるにもかかわらず、今回の勉強会にお越しいただき、熱意のこもったすばらしいお話を伺うことができました。以下、長谷場先生のお話の概要です。
今回の東日本大震災では、両親共に失い孤児となってしまった子どもは、200人以上。片親を失った子どもは数えきれません。長年、親や家族から離れた少年少女と生活をともにしている私たちにとって、大変心が痛む出来事です。どれだけ沢山の子どもたちが、先行きに不安を抱いていることでしょう。
私たちは、戦災孤児の子どもたちの支援から始まり、近年は、家庭崩壊、家庭トラブルの結果、虐待、ネグレクトを受けた子どもたちを多く受け入れてきました。震災で孤児となった子どもたちは、それまで温かい家庭の中で育ってきた子どもであり、私たちが今まで見てきた問題のある家庭から来た子どもとは、少し違うかとも思います。しかし、必要と請われれば、全力で対応したいと思います。
私たちの運営している自立援助ホームは、就職して社会人の一歩を踏み出せるようになるまでの間、生活指導や生活支援を行い、家庭的な雰囲気の中で子どもたちが社会的自立をめざすところです。ホームから仕事に通い、その給料で寮費、衣類、日用品、小遣いをまかない、残りを貯金して、来るべきアパートでの一人での生活自立に備えます。
ただし、24時間、365日、ずっと一緒に14~18歳の思春期、反抗期真っ只中の高齢児をみるのは変なことです。不安な時期にある子どもたちが、勇気を失わずに成長していけるよう見守ることは一筋縄ではいきません。
私たちが、子どもと接するときに大事なポイントがいくつかあります。
一つ目は、尊厳をもって尊敬のまなざしで子どもを見る必要があります。赤ん坊のころ、ハイハイができた、ひとりでスプーンが使えたと、上手、上手、良い子ねとせっかくほめて育ててきたのに、ある日親は、この子は勉強をしない、とりあえず良い学校に入らないとダメだ、何はダメだと途中から否定し始めるのです。これはいけません。お前は良い子だとほめ(全体受容)、でもここは悪いと注意をし(部分否定)、良いところを十分にほめて育てることが大事です。
二つ目は、「しなければならないことはする。してはいけないことはしない。」このことを、問答無用で教えることです。百万遍でも解るまで繰り返し丁寧に教えることです。
三つ目は、子どもの目線から外れないで、子どもの気持ちを聞くこと。何故乱暴するのか、何故反抗するのか、全てを受け入れる気持で聞き、子どもが自分を認めてくれる人がいるということが分かることが大事です。
そして、子どもを愛することが子どもを成長させ、自信を持たせるのです。相手に分かるまで愛情表現をすることです。「可愛くば、三つ叱って、四つ褒め、五つ教えて良き人となせ。」という言葉がありますが、私たちは、「やさしさの分る良い子を育てたい、可愛がられ社会に受け入れられる子に育てたい」その思いで、毎日孤軍奮闘しております。
ここまで来るまでには、何度も困難に遭遇しましたが、その時々に大きなお力添えを得ることが出来、助けられてきました。※
これからも、子どもたちの心に寄り添い、支援し、巣立つ子どもたちの実家になるべく、頑張っていこうと思います。皆様のご支援をよろしくお願いします。
※詳細は、長谷場先生の第一回勉強会、平成22年4月27日のリポートをご参照ください。
(記:社会貢献委員会)