石原 慎太郎 東京都知事ご挨拶
「ともいき」という言葉は知らなかったけれど、とても大事な言葉である。
人間は他人とのつながりなくして生きてはいけない。これが今壊れてきているので、世の中いろいろなことが起こる。最近、ある新聞記者から「秋葉原事件の犯人は、生まれて初めて警察の中で他人と向き合っているのではないでしょうか。」という話を聞いた。家庭で対話することがあればあのような事件は起きなかったかも知れない。また別の人からは、「秋葉原の事件が起きたとき、知らない人がマウス トゥー マウスで、被害者を助けようとした。日本人も捨てたものではない。」と聞いた。人間は、いざとなったら身近な者同士が助け合わないとどうにもならないものだ。
災害対策にしても、まずは自分で自分を守る「私助」、次に隣近所向こう三軒両隣を守る「共助」、最後に都下・国の「公助」という、私助・共助・公助の意識を持って欲しい。東京でも様々な災害対策を行ってはいるが、国が出るのは最後だと思って欲しい。
環境問題は様々な専門家の話を聞く度に深刻で、あと5年で相当な対策を講じないとティッピング・ポイント(振り子の針が振り切れて戻らないライン)を超えてしまう。昨年の夏、北極海の氷が5300平方キロメートル溶けた。しかし、冬になっても4700平方キロメートルしか戻らなかった。このままでいけばあと18年で北極海の氷がなくなってしまう。経済界の人は利益を考えるので先行投資は難しいというが、様々ないやな変化が統計にはっきり出ている。このことからも我々は今から相当な用意をする必要がある。具体的に何をするかが問題なのだ。自分を守るためだけでなく、20年後30年後の子供達を守るため、一人一人が節約をしなければならない。
最後に私の好きな開高健から聞いたマルティン・ルターの言葉で終わります。「たとえ地球が明日滅びるとも、今日君はリンゴの木を植える。」20年後30年後の子孫の問題と考え、環境問題をしっかり考えていきましょう。