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活動報告

東京商工会議所女性会 第1回研修会

テーマ
「未来へむすぶ私たちの経営」
~事業拡大または事業承継の方法としてのM&Aの手法とは~

講師
三輪真之氏〔公認会計士〕

日時
2008年4月16日(水)17:00-19:00

会場
東京商工会議所5階502号室

出席者
45名 (うちゲスト5名)

次第

  1. 開会のことば(会長 吉川稲美)
    *今井学院 学院長 今井美津恵より新製品「平成大判」の紹介と試供品提供
  2. 講師紹介と講演の概要(司会 須永明美)
  3. 講義 90分
  4. 質疑応答
  5. 閉会のことば(副会長 井上象英)

講義概要

M&A(事業の合併と買収)というと、マスコミで騒がれた「敵対的買収」がまずイメージされるが、実際には殆どの事例が友好的なM&Aであり、会社法の改正等の規制緩和により、多様な目的に応じた活用が活発になっています。
新規事業を行う際に事業を買うことは、時間を買うことと等しく、事業を買うことにより会社の規模を拡大していくという経営戦略をとる例が多くなってきました。
但し、成功例を外から見ているだけではわからない落とし穴も多くあります。割安と思って十分な調査もせずに買った会社が、実は簿外負債や債務保証を負っていることが買った後にわかったり、経営戦略や企業風土が大きく異なることにより、シナジー効果どころか、本業が圧迫されることになってしまったり、という危険もあります。
事業を買う際には、専門家に相談して、十分にリスクを分析、調査した上で、慎重に決定することが重要です。
一方、事業を売ることは、後継者問題に悩む中小企業にとっても、事業承継の方法の一つとして非常に身近になってきています。
この場合も、買ってくれる人がいるからと安易に売っても、よく言われる「ハッピーリタイア」が必ず得られるものではありません。事業を売る場合には特に、実行までに風評が出ないように内密に進めることが重要です。また、社長の事業へのこだわりを引き継いでくれる買い手を見つけ出し、専門家に相談しながら、事業の存続と、自分のリタイア後の生活の保障が十分に守られるように進めることも重要です。

質疑応答

Q1:M&Aの仲介者を選ぶに当って、まず誰に相談するのがいいでしょうか。
A1:いきなり仲介業者の門をたたくのは、誰でも怖いでしょう。中小企業白書のデータによれば、仲介業者を相談しやすいと考えている人は10%にすぎません。まずは社内の役員や、顧問税理士、会計士等に相談するケースが多いです。

Q2:10年以上前に、一度会社を売ろうかと思ったことがありますが、どういう評価額になるのかわからなかった。売る場合の値段のつけ方としては、資本金、売上高、ノウハウ力などに対して、どのような値段がつくのか知りたい。
A2:大きく分けて二つ、つまり過去と未来に分けて評価します。過去というのは、財務諸表などのこれまでの成績で、未来と言うのはどのような事業計画を持っているかを説明してもらいます。その両方の信憑性などを検証し、その他プラスαするものがあればそれを足し、最終的な買収額を決めます。
以上のほかにも4名ほど、質問がありました。

2007年度の第一回研修会は、M&Aの手法という、大変意欲的で難解なテーマでの講演会でした。遅い時間から始まったにもかかわらず、会議室は多くの参加者で埋まり、熱気さえ感じられました。女性経営者たちのまっすぐな眼差しに、講師の先生は圧倒され汗をかきかき、熱弁をふるわれました。 テーマが難解なため、誰にでもわかるやさしい導入部を準備してくださったので、難しい授業という印象はなく、M&Aの成功例、失敗例などを紹介しながら、理想的なプロセス期間は3ヶ月、秘密保持が最重要などのアドバイスをいただきました。

(記:郷農 彬子)