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活動報告

社会貢献委員会主催 東日本大震災復興支援特別講演会
~手をつなごう女性の絆~
東日本大震災 今、本当に必要な被災地支援とは。

講師:双葉町商工会女性部部長 吉田岑子氏

 2011年5月26日、東京商工会議所401~403会議室において、東日本大震災の復興に対し今後東京商工会議所女性会としてどのような支援が出来るかを伺うべく、双葉町商工会女性部部長 吉田岑子氏をお招きして講演会が行われました。

 竹ノ内みえ子社会貢献委員会副委員長の開会の辞に続き吉川稲美東京商工会議所女性会会長より、「未曾有の震災から2カ月がたちました。厳しい寒さの続く中、どのような思いで過ごされたか想像すると心が痛みます。この災害、明日は我が身ということも念頭に置き、実体験を伺いながらこの後どのような支援が出来るのかをお教え頂きたく思います。」との挨拶がありました。

 続いて吉田様のご講演に移りました。

 「3月11日午前まではいつもと変わらぬ平穏で満ち足りた生活を送っていました。午後、知人とお茶を飲んでいたところ突然の揺れに襲われました。こんにゃくを立てて揺らしたような大きな揺れは3分ほど続いたでしょうか。家具は倒壊し、ガラスは飛び散り、瞬く間にものが散乱して行きます。
 その後しばらくして津波の警報がなりましたが、最初はまさかここまでは来ないだろうと半信半疑でいました。でも、とりあえず高台へ車で避難することにしました。目の前で地割れが起こり、幹線道路は波打ち、怪我人などで街は混乱しています。道はどこも大渋滞。避難所はすでに満員の状況なうえ、電話も不通になっていました。
 そして、津波を目撃します。第一波より二波の方が大きく、それはまるで3階建のビルが押し寄せてくるかの如くでした。素敵だった海が牙をむいた瞬間です。第一波の引いた後、一度家に戻られた方々の多くが犠牲になりました。30分後、津波は2つの町を完全に消滅させ、景色は一変していました。経営しているガソリンスタンドは無事だった為、一晩中営業が可能でした。避難の際には出来るだけの燃料を持ち出し、必要な方にお分けする事が出来ました。
 続いて福島第一原子力発電所の爆発がおこります。それは物凄い地響きで、新しく建設されたスポーツ施設が空賑で大きく揺れました。今回の災害で被害が拡大している最も大きな原因はこの原発事故だと考えています。
 暫くして、避難先が埼玉に決まります。町長の方針で地域の人が一緒に過ごせる場所への避難となりました。避難生活の中でいつの間にか様々な工夫が生まれます。衛生環境を守る為の自主的なチーム編成や協力体制などが自然に生まれてきました。年配者の多い避難所の中で、子どもの存在は大きなものでした。登校していく子どもたちをいってらっしゃいと送りだし、お帰りなさいと迎え入れる。こういう交流が心を癒したような気がします。
 避難所にも様々なパターンがあり、プライバシーや衛生環境は守られても人との繋がりはあまりないホテルスタイルの避難所、また、居住環境は厳しいけれど周りとの心の交流が持ちやすい共同住居など様々です。それぞれに特徴があり、家族の状況に応じて使い分けをしていたように思います。
 又、一時親戚や友人のお宅に身を寄せていた被災者が暫くすると避難所に戻ってくるというケースも相次ぎました。先の見えない避難生活に、受け入れる側も受け入れられる側もどうしても多少のストレスがかかり、双方の生活に影響が出てしまうようです。結局、不便であっても避難所の共同生活を選ぶ方も出ています。その他にも様々な支援を受けました。洗濯物を預り自宅で洗ってきてくれる人たち、地元の懐かしい食事をふるまってくれる料理屋さんなど多くの暖かい心に触れました。
 今回の震災をうけて、良かったと思えることもあります。それは子ども達が自然に我慢する、助け合うということを学んだということです。満ち足りた生活に囲まれることを当然としていた子ども達にとって、これは素晴らしい経験となったと考えています。
 どのような状況でも助け合い、物事に対して前向きに考え進んでいく、これこそ大切であり、この気持ちを以て今後も復興に取り組んでいきたいと思っています。」

 ご講演終了後竹ノ内副委員長より、「被災した厳しい状況を明るくユーモアを交えながらお話し頂く吉田部長から、温かいお人柄とパワーを感じました」というコメントがありました。

 続いての質疑応答では活発な質問や感想が寄せられ、現地の女性会に対してどのような支援が出来るかとのご質問に対しては、被災地と一口にいってもちょっとの地域の違いで状況も大きく異なるうえ、現時点ではまだ会社も人もちりぢりで、女性会としての具体的な活動を始動するのはもう少し先の事になりそうだ、とのお話しがありました。

 最後に井上象英社会貢献委員会委員長より「日々の生活の中で文化を作り上げて来ても、災害は一瞬で全てを消しさってしまいます。そんな時も信頼関係、人間関係、優しさなど神様から授かったもので乗り越えることが大切と感じました。今回のお話しが今の生活を振り返るきっかけとなれば嬉しく、今後も支援活動を続ける予定です。」とのお話しで閉会となりました。

※会場には募金箱が設置され、参加費の一部は東日本大震災義援金とさせていただきました。

(記:社会貢献委員会)