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活動報告

第26回 関東商工会議所女性会連合会総会さいたま大会 記念講演会

演題「変わらなきゃ、これからの日本」
講師 大宅映子氏(ジャーナリスト・評論家)

 総会に続きましてホールでは評論家・ジャーナリストの大宅映子氏をお迎えして記念講演会が行われました。
 故大宅壮一氏の三女である大宅映子氏は、株式会社高島屋社外取締役をはじめ数社のアドバイザリーボードメンバー。これまで多くの審議会の委員を務められてその範囲は広範囲に及び、日本の構造改革に関わってきています。
 演台にあがられて開口一番「大きいでしょう。皆様驚かれます。」それもそのはず大宅氏は身長170cm。その大きさからご自分には玉の輿の道はないので、自分の道を歩いていこうと若いうちから決心されていたとのこと。以下、子育ての話、お母様の話、そして政治の話へとよどみなく話は進行しました。

 「私は女に生まれて損をしたと思ったことはありません。子育てほどおもしろいものはないのです。孫は1歳8ヶ月になりますが、孫より自分の子どもの方がかわいくて仕方ありません。こういう考え方は仕事をしている人に多いと聞いています。
 母の大宅昌は、父、大宅壮一が70歳で亡くなってからキャスターとしてテレビに出るようになりエッセイストとしても活躍しました。父が亡くなったときには一瞬ぼけましたが、テレビに出ることによって回復しました。
老後は11年ほど老人ホームに入りましたが100歳まで元気でおりました。最期の日は、昼間には元気に麻婆豆腐が食べたいと言っていたのが夜には大往生。管にも繋がれず床ずれもない尊厳ある死でした。

 私は小さなPR会社に勤めておりましたが、子ども達がエスカレーター式の学校に入ったのをきっかけに、テレビに出ることにしました。最初は三宅久之さんのご紹介で、女性による報道番組です。女の目・女の視点からの発言を求められました。そして時代は流れ「女の目」は「消費者の目」「生活者の目」そして「個人の目」と視点が変わって参りました。
 日本がここまで閉塞してしまった原因のひとつは、男性が個人の意見を言わず、言うことはいつでも「組織の意見」であるからではないかと、思います。これではいつまでたっても個人が豊かにはなりません。国民が望んでいるのは組織の意見ではなく個人の意見なのです。
 民主党もしかり。現在の民主党がダメだからといってどこかというところもない。首相自身もアメリカの新聞に「愚かな」と書かれあっさりと認めてしまうほど。ま、それだけでやめていただいても結構と思いますが。
 普天間基地問題も「5月末までに決めるということは、5月末までに決めないことを決める」とか、あれは来年の5月であるともいいだしかねません。ガラス細工のように大事に扱って13年かかって決めたことをあっさりと白紙にしてしまいました。それはそれで恰好がいいですが沖縄もアメリカも納得する案があるのでしょうか。腹案があると仰っておりますが、あるわけがありません。普通の人であればあるのですが、あるわけがないことをあるというから宇宙人と言われるのです。
 私は道路関係四公団民営化推進委員会に所属しておりましたが、一人二人と次々に人がいなくなり、最後に残ったのは猪瀬直樹さんと私の二人だけ。まるでアガサクリスティの世界です。国民は高速道路無料化にしっぽを振っているわけではありません。高校や農家にまで税金をばらまいて税収が37兆円しかないのに公団の予算額は92兆円にのぼるといいます。「経済成長は後回しで、まずは国民の幸せ・幸福度」と、数字にあらわれないことが大事と言っている場合ではありません。
 政治の世界でも新党が乱立しておりますが「たちあがれ日本」なんて、やっと声を出しているような人たちに言われたくはありません。若い人はついていっていないでしょう。舛添要一さんの人気はどれほどのものなのかわかりませんが、結局のところ自民党を追い出されたような形になり、メンバーにも魅力はありません。中田宏さんの新党は一人一人が立ち上がらなければ・・・。
 つまるところ、今回は投票したい人がいないのです。悩みきってしまいました。なるべく勉強会に参加をして民主党を知ろうとしていますが、今の支持率からいくと現状では危ういでしょう。
 ‘みんなの党’だけが喜んでいます。渡辺喜美さんの言っていることは悪くありませんが、自民党を出るにしてももう少しやり方があったのではと思ってしまいます。小泉進次郎さんは父と違う選挙区からでていればもっと大きな顔ができたのではないでしょうか。石破茂さんは言っていることは正しいと思いますが、あの目を毎日見るのはつらい。自民党は解散すればよかったのではないかとも思っています。
 小泉純一郎さんは「自民党をぶっこわす」と言いました。それまでのお金の使い方というのは国という保証のもとに、預けているものすごいお金は特殊法人というところに回っていました。たとえば住宅公団にお金を回して住宅を建て、道路公団に回して道路を造っていたのです。日本の国会議員は皆道路族といっても過言ではありません。ところが時代が変わっても同じ事を続けてしまいました。これを小泉さんは無駄なお金の使い方ではなくて、もっと有効的なお金の使い方をしようではないかと言ったのです。
 小泉さんの後を継いだ安倍晋三さんは自民党のリハビリをしなければならなかったのに、郵政問題で離党した人を戻したりしたなど、どちらかといえば改革路線ではありませんでした。福田康夫さんは「私はあなたとは違う」などとキレてしまいますし、麻生太郎さんにいたっては漢字が読めない。
 一度政治をやらせてみようと民主党に政権をとらせたものの政治資金諸々の問題でそれどころではありません。月々1,500万円ももらっておいて知らなかったと言えば脱税にはならないのでしょうか。そもそもお金が足りなくなったらママと言えば出てくるような人を首相にしておくべきではありません。
 一方、小沢一郎さんは国民に自己責任を初めて問うた政治家であります。ただし、一番の側近であった人はある日突然切られます。そして一人でこもって選挙のことを考えるのが好きですが、政権をとった後に何をしたいのかは出てきません。それなのに実権だけは握っていたい。これでは政治家として認められませんし、あれだけの独裁者が秘書のしていることを知らないわけがありません。

 日本は戦争に負けてアメリカの庇護のもとに経済に特化して世界一になりました。経済発展し、オイルショックも乗り越えました。しかし東西冷戦構造がなくなって自分たちで方針を考えざるを得なくなり、バブルがはじけたら不良債権も処理できないような状況になってしまいました。そんな時に今までであれば派閥の締め付けで総裁になれるとは思っても見なかった小泉さんが総裁になったのです。90年代は失われた10年とも20年とも言われますが、アメリカでさえ2倍の成長率を示しているのに日本は横ばいです。
 今年、ハーバード大学に入学した日本人は1人しかいません。外に出て体験した人によってリーダーシップは発揮されるものなのに、男の優しさをはき違えた、いわゆる草食系男子といわれる現代の男子には元気がありません。スキー場や劇場にはおじいさんとおばあさんしかいません。若い男子がガールフレンドの家族と一緒にテレビを見ていて何がおもしろいのでしょうか。その逆に女子はどんどん元気になって男子をあごで使います。
 鳩山首相のお母様のご実家はブリジストンですが、当時日本に300台しかなかった自動車を宣伝に使っていたそうです。無給であった徒弟制度を有給にしたりと、今の男性に欠けているガッツがありました。翻ってみると現在は安定して自分の好きなことができる、企業からみるとぶら下がりにしか思えない男子であふれています。
 今、話題のiPadを開発したスティーブ・ジョブス氏の2005年スタンフォード大学卒業式祝賀スピーチがあります。彼の生みの母は未婚の母で、彼を養子に出すことを決意しました。その条件は養父母が大学を出ていることでしたが、 実際の養父母は高校も出ていなかったので、絶対に大学は出しますと約束して彼を引き取ったそうです。そして17年間貯めたお金をすべて彼につぎこんで大学を卒業させました。彼はガレージで作ったコンピューターを使って事業を立ち上げます。その後、外から人を入れて自分が追い出され、試行錯誤の末にアニメの会社を設立し、アップルに吸収される形でアップルへ戻ります。そして、膵臓がんを克服して今に至るそうです。彼は言います。「君たちの時間は限られている。だから早く自分のやりたいことを見つけなさい。」
 残念ながら現代は頑張った人が評価されない時代です。人は人と違ったところを認め合って誉めあわなければなりません。何かを変えるパワーは一人ひとりが持っています。根っこから変えましょう。私たちのDNAがある内はまだ間に合います。できるところからやるしかありません」

 という力強いスピーチをいただき、満場の拍手の中、講演が終了いたしました。

 その後、休憩をはさんでアトラクションが行われました。出演はヴォーカリスト:加藤順子氏、ヴァイオリニスト:会田桃子氏、ピアニスト:金益研二氏。曲目は「ラスパニョーラ」「カンツォーネ」「コン・テ・パルティロ」「ボラーレ」「ひまわりのテーマ」「マンマ」。発声美容体操を交えながら「歌は自分を励まし、勇気づけます。歌を聴いて頑張ろうと思ってくれたらうれしいです。」とおっしゃる加藤氏の伸びやかな歌声に魅了された一時でした。

(記:椿 克美)

第26回関東商工会議所女性会連合会総会さいたま大会

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