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活動報告

「少子化問題委員会」活動報告

少子化問題委員会委員長 吉川稲美 今、国家としても緊急課題となっている「少子化」について、私たち東京商工会議所女性会もこの問題に取り組むべく、斉藤会長の発案で昨年4月「少子化問題委員会」を立ち上げることになりました。
齋藤会長の指名を受け、私が委員長に就任し、今年の11月迄に提言することを目標にお引き受け致しました。そして会員の皆様に委員会への参画のお願いを致しましたところ、多くの方々が賛同して下さり、活動を続けて参りました。
 過日、齋藤会長が東京商工会議所の常議員会にご出席された際に、東京商工会議所の人口問題委員会が5月中に「少子化問題に関する提言 ~出産・子育てに優しい経済社会の実現に向けて~」という提言を纏める運びとなったことを聞き、その提言の中に女性会の意見も盛り込んで戴くべく、私に4月中に女性会として意見を纏めて欲しいという緊急連絡をいただきました。
 そこで、これまでに開催した講演会や会合における委員の皆様の体験による意見等を集約し、以下に女性会として少子化問題に対する提言を纏めました。

提言

1.助成による産科医・小児科医の育成と確保
産科医・小児科医不足の改善のためには、行政は大学などの教育機関に助成を行ない、産科医・小児科医を積極的に育てていく必要がある。加えて、産科・小児科に関わる医師、医療従事者(例えば助産婦)の雇用および地域への割り当てを行ない、産科医療・小児科医療の拡充、地域偏在の解消を図るべきである。さらに、夜間・救急時に、医師と看護師の24時間往診を行えば、子育てにおける心理的な不安を軽減することにつながる。

2.夫婦の出生力を高めるための教育と不妊治療への助成拡充
昨今の出生力の低下の原因は、未婚化、晩婚化、晩産化などの要因があげられているが、それだけでなく、家庭における食事や睡眠などの基本的な生活習慣の乱れから、体温の低下による不妊にも大きく起因していると考えられる。出生力向上のためには、保健士や助産婦・出産経験者による妊婦指導、食の大事を伝える教育など、生活習慣改善のための指導・教育を徹底しなければならない。
また、体外受精および顕微受精などの不妊治療には高額な医療費がかかり、経済的かつ精神的にも負担が大きい。現状の費用一部助成、専門医への相談事業だけにとどまらず、不妊治療すべてにおいて健康保険の適用をすべきである。

3.すべての子どもへの一律助成
現在の保育所への助成金では、保育所へ通っている家庭と、収入による制限や保育所不足による通いたくても通えない家庭との間で不平等感が強い。その不平等感の解消のため、親・家庭への助成ではなく子どもへの助成という観点から、全ての子どもに均等に助成を分配するとともに、その活用については実効性を伴う柔軟な仕組みを導入すべきである。

4.保育サービス(保育所、託児所)の拡充
現在、子育て支援メニューの数は多いものの、ニーズにマッチした内容はまだまだ足りない状況にある。
特に、待機児童減少のための保育施設の増設、働く男女の通勤時間を加味した保育時間延長の義務化、などの保育サービスの拡充が必要である。また、保育時に病気となった際、症状の程度によっては親が職場を離れなくてもすむよう、病児保育の充実や保育施設においての小児科医の往診など、柔軟なシステムの整備も望まれる。

5.育児休業後に復帰しやすい環境の整備と拡充
育児休業期間を延長するとともに、休業期間中の職場との接触(例えば、休業期間中に子どもを保育所に預け、月1回程度会社へ出社する)を奨励し、同じ職場へ復帰しやすい環境の整備が求められる。さらに、取り組みの遅れている企業(特に中小企業)に対しては、人件費の補填などによる助成を拡充し、育児休業制度への取り組みを促進する必要があろう。

活動報告

第1回少子化問題委員会≪会議≫ 平成17年4月25日(月)
活動方針(案)について

第2回少子化問題委員会≪講演会≫ 平成17年6月9日(木)
演題:『少子・高齢化への政策対応~スウェーデンの経験~』
講師:早稲田大学教授 岡澤憲芙氏
参加者数:73名(会員総会にあわせて開催)
(主な内容)
・スウェーデンでの少子化対策における諸制度やライフスタイルを解説

第3回少子化問題委員会≪講演会≫ 平成17年8月2日(火)
演題:「子どもが減っても大丈夫な社会を」
講師:信州大学人文学部助教授 赤川学氏
参加者数:26名
(主な内容)
・少子化の弊害を、出生率回復によってのみ克服するのではなく、少子化を前提とした諸制度の設計も必要なのではないか。
・少子化要因については、巷間で言われていることを鵜呑みするのではなく、もっと本質を追求しなくてはならない。

第4回少子化問題委員会≪会議≫ 平成17年11月17日(木)
今後の活動について
(1)アンケート調査の実施
(2)講演会の実施
(3)今後のスケジュール

第5回少子化問題委員会≪会議≫ 平成18年2月8日(水)
(1)アンケート調査の実施について
(2)今後の活動について

第6回少子化問題委員会≪会議≫ 平成18年4月25日(火)
少子化問題に関する提言(案)について