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活動報告

平成17年第1回研修会

研修担当主催の研修会が、山岡常任理事を講師にお迎えして行われました。
創業138年 株式会社山岡毛皮店代表取締役社長 山岡 冨美江 様
平成17年4月7日(木)講演

1.私を育てた3人の男性たち
実父は百貨店向けの業界誌のジャーナリストだった。戦前の日本で実父より「女性でも職業を持つべき」という教育を受ける。
戦後間もなく毛皮専門店に嫁ぐが、結婚後、義父が美容院を開業するための建物を購入し、経営者としての嫁をバックアップしてくれる。
夫は山岡毛皮店三代目。世界各国のオークションで一流の毛皮を買うことが生きがい。毛皮に対する目利きは素晴らしく、「国際的毛皮商」として、没後27年の現在でもその名は残っている。夫は世界のトップクラスのものを購入して来るため、オークション後は会社の資金繰りが大変で、当時は北海道のホテルで展示会を開催して資金繰りに奔走していたとのこと。

2.今までの人生を振り返って
人生は出会い。今までの人生の中で5回、不思議な出会い(昨日まで知らない人が助けてくれたこと)があった。
また、人間は最後に残るのは思い出。いい思い出をたくさん持っている人は幸せだと思う。

3.会社経営
老舗であっても新しいものをお客様に見せるのが使命。
店員で50年勤務、営業に42年勤務というベテランの高齢の社員がいる。年をとるということは経験を重ねること。経験があり健康で前向きであれば年齢は関係ない。そのような社員は会社の財産、宝だと思っている。
毎朝10時に朝礼をしている。毎朝、言うことは同じだが、言うか言わないかで大きな開きがある。来店して何も買わずに帰るお客様が「この店は買わなくても気持ちのよい応対をしてくれる」と思ってもらえるような店を作るためにも朝礼は欠かせない。
生涯、現役で。元気なうちは仕事を続けたい。

4.後継者について
息子が商売向きでないので、もうこの会社は自分の代でやめようとまで思った矢先、元町のファッションショーに出展した毛皮の美しさに、ここでやめてはいけないと思い直す。
その後、赤の他人ではあるが、適任の後継者との出会いがあった。日本では珍しいが、外国では実力ある人が事業を継ぐのはごく普通のこと。138年の歴史を継ぐということは「精神の継承」である。

5.時代を先取りするポイント
約17年前、「将来はエリートでなければ毛皮を買えない時代ではなく、布帛と共存する時代になるだろう」と公言していたが、そのとおりになった。
現在、中国などから安い毛皮がたくさん輸入されているが、山岡毛皮店ではほんとうによい商品だけを扱っていきたい。初代が「お客様の喜ぶものを売りなさい」と言ったことが現在も生きている。
時代を先取りするポイントは「興味」をもつこと。業界紙はすべて読んでいる。

(記:須永明美)