1. ホーム
  2. 平成16年度 活動報告
  3. 関商女性連・東商女性会共催講演会

活動報告

関商女性連・東商女性会共催講演会

宮尾登美子氏講演会 「女性の生き方」~義経と生きた女性たち

3月2日に東商ホールで、作家の宮尾登美子氏を招いて関商女性連との共催講演会が開かれました。

NHK大河ドラマ「義経」の原作は、宮尾登美子先生の「宮尾本 平家物語」です。NHK大河ドラマの中でも高視聴率をとる人気ドラマで、毎日曜日楽しみに放映を待っていらっしゃる方も多いことでしょう。小泉関商女性連会長と宮尾先生は、古くからのお知り合いで、今回の講演会が実現しました。
講演会場には550名の参加者があり、盛会となりました。小泉関商女性連会長の挨拶の後に、あでやかな和服姿の宮尾先生が登場され講演が始まりました。

宮尾先生はご主人、小さなお子さんと一緒に昭和21年、満州から引き上げていらっしゃいました。戦後、民主国家となった日本に驚き、そして「男性も女性もこれからは、思うように生きていい時代がきた」と実感されたそうです。引き上げ後に大病をされ、死を覚悟された宮尾先生は、幼いお嬢さんに何か遺したいとお考えになり、半生記を書き始められました。それが作家となるきっかけになったとのことでした。

女性の生き方を生涯のテーマとし、小説を書かれていましたが、『櫂』で太宰治賞を受賞されるまでに26年間かかったとのお話がありました。
平家物語の巻頭にある系図には、女性個人の名前はなく、ただ「女」としか書かれていなかったことが『宮尾本 平家物語』執筆のきっかけとなったそうです。

「平家の女性たちが天皇家や貴族と婚姻し、子どもをもうけなければ平家の繁栄はなかったのに、系図にはその存在も記してもらえない。それならば、私がその女性たちに名前をつけ、その生き方を残そう」と考えられたとのことです。宮尾先生のお話を伺って、NHK大河ドラマの今までとは違った楽しみ方を見つけることができました。

今までに20編の小説をお書きになった宮尾先生は、20人の女性の生き方を書かれてきました。長い執筆生活の中で「女の意地」を発揮して、困難な状況も乗り越えられてきたとか。最後に宮尾先生は「仕事は死ぬまで続けましょう」と、参加者に手を振られながら、会場を後にされました。

(取材:五十嵐容子、金原好紀、井上象英、阿部千恵子、大津洋子)